2024/09/18 22:25
プロバイオポニックス栽培は、農産物の生産に必要な窒素源をバイオマス(生物に由来する有機物である資源 ※化石燃料を除く)から得る養液栽培方法であり、未利用資源の活用による環境負荷低減が期待されています。
プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物JASは、2022年2月24日に制定されました。本規格によって生産される農産物は、培養液中の無機養分について次の要求事項を満たすよう管理され、認証機関(例:一般財団法人日本食品分析センター)の認証を受けることによって特色JASマークを付して市場に流通させることが可能になります。
A)窒素成分:バイオマス由来であること。
B)リン,カリウム,カルシウム及びマグネシウム成分:バイオマス,鉱物資源(りん鉱石,加里鉱石等)又は海水由来であること。
JASマークは、食品・農林水産品やこれらの取扱い等の方法がJAS(日本農林規格)を満たすことを証するものとして、食品・農林水産品や事業者の広告などに表示されます。
平成30年12月28日に、特色のあるJASに係るJASマークとして、これまであった3種類のマークを統合し、新たなJASマーク(特色JASマーク)を制定しました。
特色JASマークにより、日本産品・サービスのさらなる差別化・ブランド化に向け、消費者の皆様に高付加価値性やこだわり、優れた品質や技術などを分かりやすくアピールすることが期待されます。
○プロバイオポニックス栽培について
植物の生長には、窒素が必要です。土壌では、糞などのバイオマスは従属栄養微生物による「アンモニア化成」と硝酸菌による「硝酸化成」の2段階の分解を経て硝酸態窒素まで分解され、植物が吸収できるようになります。一方で、水中では、バイオマス中の有機物に触れると硝酸菌が不活性化されるため、1段階目のアンモニア化成で分解が止まります。この状態では、根が傷害を受け、植物の生育が悪化、あるいは枯死してしまいます。したがって、水耕栽培などの土壌を使わない栽培方法(以下「養液栽培」)では、バイオマスを用いた栽培が難しいとされてきました。
この問題に対して農業・食品産業技術総合研究機構は、従属栄養微生物とともに、硝化菌が耐えられる濃度のバイオマスを与える”馴化(じゅんか)培養”という手法を試みたところ、水中でもアンモニア化成および硝酸化成が同時並行的に進むことを確認しました。「プロバイオポニックス栽培」はこれを養液栽培に応用したもので、「プロバイオティクス(人体に良い影響を与える菌、又は、それらを含む食品)」と「ハイドロポニックス(水耕栽培、養液栽培)」を掛け合わせた造語です。